ゴミ処理施設の悩みの種が、生モノの焼却処理だという。生ゴミには飲料品や野菜、冷凍食品といった食品残渣を中心に、汚泥、動植物などが含まれる。処理分 類としては可燃物扱いだが、燃えやすいモノと混焼すると生モノだけが完全焼却できず、炉の底に残る。このため生ゴミの焼却は投入する重油の量が多めにな り、燃費が高くつく。一般的な焼却炉としては「直燃炉」「ガス化炉」「逆燃炉」の3型があるが、いずれも生モノ処理に難点があり、ダイオキシンの発生や爆 発の危険性が指摘されるなど、問題を抱えていたのが現状だった。
だが同社が開発した新焼却装置「ケマドーラ」(スペイン語で焼却炉の意)は、生モノを特殊装置による燃焼システムで助燃バーナーを使うことなく可燃物と混 焼でき、また排ガス中の悪臭・黒煙などの排出を大幅に低減できるという。特にダイオキシン類の生成を極小に抑制できるのが大きな特長だ。厚生労働省の排出 基準は5ng-TEQ/m3Nだが、同装置では0.96ng-TEQ/m3N。 2002年12月に実施される新基準値もクリアしている。
(財団法人 大阪産業振興機構のパンフレットより引用)
優れているのは機能だけではない。抜群のコストパフォーマンスを発揮する。例えばある乳製品工場で同装置を稼動させたと ころ、年間1、200万円の経費削減が実現したという。同工場では1日に返品・期限切れ牛乳やコーヒー糟などの生ゴミが2トン、可燃物と合わせ計4トンの 廃棄物が出ていたが、これまでは産廃業者に引き取ってもらい1日12万9、000円を支払っていた。年間ベースで3、800万円の出費である。
一方、ケマドーラの導入コストは6、500万円。 年利3%の5年均等返済とし、加えて燃料費・人件費・電気水道代・メンテ費用・焼却灰の処分費用を含めると年間2、600万円の経費で収まる。差し引きで 年間1、200万円の経費がカットできるという。 それだけではない。 2002年12月から焼却炉の規制強化が行われ、ダイオキシン排出基準が厳しくなる。操業中止に追い込まれる産廃業者が多数出ると予測されているが、これ に伴う影響でさらなる経費削減が見込めるという。
「規制強化で2002年中に業者数は半減します。つまり、それだけ引取費用も上がります。個人的には 100%ほど上昇すると見ていますが、仮に50%アップしたとしても、10年間で3.7億円の経費が削減できると見ています」